《第404話》『夢でないことが悪夢そのモノである』
「く――っ!」
妾の攻撃を、圧倒的妖気と鬼火を持って、建物ごと吹き飛ばした「それ」は、うつろな目でこちらを見ている。気配から何から非常に酷似したそれは、絶対的力を持ってそこにいた。
――これは、悪夢か?
「…………」
「何なのだ、いったい何なのだ貴様はァ――ッ!」
先ほどの攻撃により、脳ミソの収められていた機械も破壊された。しかし、その生身は潰れることなく、電気的な力を帯びながら、妾の偽物の頭の上で浮かんでいる。
――問いかけても、返事はない。そればかりか、片手をこちらにかざしたかと思うと、そこから鬼火玉を無数に発射する。
「――ッ! この……っ!」
その数、そして一つ一つの威力は、現在の妾の力をはるかに凌駕していた。言うまでもなく、喰らってはいけない類の攻撃。
馬鹿正直に正面から防ぐのは不可能だと妾は判断した。一瞬の判断で、空間を割り裂き、奴の背後に出口を――、
負傷した腕から、未だ経験しえぬ痛みが走った。
もはや、体力は十分限界に来ていたのだろう。それにすら気が付かず、妾は一人戦い続けていた。その結果がこれだ。
妾は空間跳躍を行えず、激しい眩暈とともに膝の力が抜ける。
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