《第403話》『崩壊』
「なに!?」
突然震動する地面。鳴り響く爆音。謳葉と活葉が連れ去られてすぐ後に起こったそれに、僕は振り向かずにはいられえなかった。
「遠くの方で、何やら爆発が起こった様じゃ、な」
「爆発――しかも、あそこは……」
僕の視線の先では、高層ビルがバラバラになって崩れ落ちていく真っ最中だった。
爆発自体は根元の方で起こったのか、下方から粉塵が撒きあがっているのに、横に倒壊するでなく、瞬く間に落下しながら無数の瓦礫と化していく。
それは間違いなく、周囲の企業に混じって偽装された平和維持継続室の本部だ。一度この場所で集合した後、あそこへ向かうはずだった。
「微弱じゃが、狂気鬼のヤツの妖気もここまで伝わってくる。方向的にも、あの場所で間違いないじゃろうな」
「呉葉――!」
まともに考えて、呉葉がビルを自らの手で破壊する、などと言う事は考えられない。何らかの理由から行うにしても、周囲への被害が少なくなるよう配慮はするはずだ。
しかし、よくわからない。なぜ呉葉が一人であんなところに。そもそも、一体何が起こっているんだ。
「――考えている暇は無いじゃろう。何が起きているかは、行ってみればわかる」
「っ、そ、そうだね――! でも……、」
しかし、今すぐ駆けていきたいところだが、サンジン・ショコウは結界を解いて行かなかった。僕らは今、まだ閉じ込められている。
「お、お願い、お願いだよ鳴狐――! この結界を……っ」
「余とて、早くこんな息苦しい場所からは脱出したい。――しかし、さっきのアレは、身体に負担が大きくて、のう。未だ、持ち直せてはおらぬ……」
「そんな――」
呉葉のことも、そして謳葉や活葉のことも。どっちも気がかりで、しかし、指を咥えて見ている他ないのが今の惨状だった。一体どうすれば――、
――その時、何かを叩きつけるような音と共に、結界が破壊された。




