《第398話》『最強の妖狐』
「そ、んな、ムチャクチャ、な――!?」
鳴狐の剣撃が、掴みかからんとしていたサンジン・ショコウの両腕を斬り落とす。
「そうとも。広げられぬ穴を無理やりこじ開けるようなものじゃからな。じゃが、余にはそれができる」
サンジン・ショコウの両サイドの口から、灼熱の火炎が。正面の口から無数の弾丸が放たれる。
すると鳴狐は、「二人の存在」となって跳躍し、それを躱した。
そこに、三本の尻尾が貫かんと襲い掛かかる。
すかさず「突如現れたさらに一体」の鳴狐が、剣の側面を持って鋭い針の生えたそれをせき止める。止められた針先の前を、悠々と二体の鳴狐が抜けていく。
「ナニ!? ナニ、ナニがオこってるのよォッ!?」
二体の鳴狐が、×字に猫の胴体の下半身をカット。尻尾を止めていた一体の鳴狐の背後から、「もう二体」の鳴狐が出現。地面を蹴ろうとしていた前足を、人型の腰あたりからクロス状に切断。
「何故か分かるかえ? なぜなら、それは余が――、」
「総計五体の鳴狐」が、全て確かな質量を持って駆け巡り、サンジン・ショコウの人型の胴体をバラバラにする。
「白面金毛九尾の狐、その娘だからじゃ」




