《第395話》『まるで機械仕掛けの体内のようだ』
魔神は残り二体。大きさのせいなのか何なのか、追加されてくる様子はない。
奥の手は――使わない。アレは、使えばどうなるか分からないのだ。
要するに最終手段なのであって、使うことになるのは追い詰められたときだ。今は。今は、まだ、あんなモノに頼らず、とも――ッ!
「ぐ、ゥおああああああああああああああああああああああああああッッ!!」
ビットを紙一重で回避し、二体目の魔神を潰しに向かう。背後からはもう一体が、豹のような速度で追いすがり、妾が狙う一体も、腕を振りかざし応対してくる。
巨大な爪が、妾の頭に触れる――、
寸前、空間跳躍。魔神の背後へと、回りこんだ。
「お前たち、で、潰し合っていろ――!」
小回りはあまり利かないらしき魔神。上体と頭でこちらを振り返るそいつの横っ腹へと、勢いそのままにドロップキック。
金属の魔神は、加算された勢いまでもをその足では止め切れない。
二体目の魔神は、妾を狙って戻ってきた霊力刃のうち6本をその体で受け止め、三体目と衝突した。
残った刃14本が、重なり合った魔神を避けて飛来してくる。
「ふ――っ!」
合計14もの、空間断裂を作り出す。一つ大きいものを作るよりも強い集中力で、出口を脳ミソの入った装置周辺に集中させた。
己の刃を、己が身で受け止めるがいい――ッ!
――機動する刃は、装置の周辺に張られていたらしき障壁に弾かれてしまった。
「ちっ、やはり、か――!」
ある程度予想はしていたが、この程度で許してくれるほど甘くはないらしい。となれば、それ相応の力をぶつけて、結界なりバリアなりをぶち破るのみだ。
そう、舌打ちする妾のところへ。金属の魔神が、腕を文字通り長くのばして襲い掛かってきた。




