《第394話》『守るべきもの。守りたいもの』
俊敏な動作から、大ぶりな一撃を放ってくる機械の魔神。回避して、二機目。それも躱すと、三機目が突撃してくる。
「攻撃そのものは、まだ単調、だが――ッ」
重い。片腕で、三機目が振り下ろした腕を受け止める。床がギリギリと歪むのもお構いなく、魔神は押しつぶそうとしてくる。
「ぐ――!?」
ファンネ○モドキが、4基身体に刺さる。そこから我が身に清浄な霊力が毒のように流れ込み、芯から苦痛が発生した。
――三機目のパワーに、押し負ける……ッ!
「ワケに、行くものかァッ!!」
妖力を、鬼火と共に全力で解放。巻き起こる爆風が、魔神三機を払い飛ばし、刺さっていたものも含めた20基を破壊する。
「妾は、負けるわけにはいかぬの、だ――! この程度、屈しはせぬ!」
『問いかけます。なぜ、自身の敗北を忌避するのですか?』
「決まっている、だろう――!」
邪気の影は、未来世界にて妾の子供たちを脅かしている。すなわち、それをわざわざ誘い込んで吸収したこいつは、全く無関係な位置から横槍を入れてきた、とは考えにくいのだ。
つまり、未来での出来事も含め、この道摩とか言う脳ミソが事態を招いていると考えられる。
だから、こいつを倒すことが、事態の収束への近道。ああもう、いちいち回りくどいことを考えずとも、黒幕! 黒幕らしきこいつを倒せば、妾達はささやかで、しかし確かにある幸せな明日を送ることができる。
――だから、そんな未来に欠かせない夜貴を、そして、我が子らに害を及ぼす貴様から、
「守るのは当然だからだ――ッッ!!」
魔神一体を、殴り伏せながら。改めて、妾はそいつへと向かって叫んだ。




