《第394話》『狂鬼姫の苦戦』
「っ、く――」
妾は戻ってきたファ○ネルモドキを回避するために、空間移動で再び床の上に。さて、ここからどうすべきか。
いちいち、腕の裂傷が突っ張って激痛が走る。痛みを自由に消せれば、どれほど楽なことか。
『…………』
だが、うだうだ悩んでいても仕方がない。あの気持ち悪い頭脳器官を潰してしまおう。
――20もの刃が、こちらへと向かってくる。
「は――ッ!」
それらへと向かい、妾は鬼火の火球を自身の周囲から放った。直撃するなり、あのちょこざいな自律機動ユニットらしきモノは木っ端みじんに四散する。
これで、邪魔をするモノはなくなった――! これで、あの機械を止めてしまえ、 る……っ、る、る、る――、
「――心の中ででも、フラグは建てるべきではない、な」
部屋の壁から、きっちりぴったり20基のファン○ルモドキが飛び出してくる。あの射出口を先に破壊すべきか。
――だが、そんな余裕はすぐになくなる。
「おいおい、ここはターミ○ーターの製造工場か? いや、人型なのは上だけか」
赤い瞳が二つ輝く頭部に、人型の上半身。両腕はショベルカーのグラップルのような鋭い爪が生え、ネコの胴体を下半身として成立させた銀色の魔神が現れた。太くしなやかな一本の尻尾の先端には、オオオナモミのような棍棒と槍のような針が伸びている。
それらが、三体。せり出した床から、上がってくる。
「さ、て、どうしたものか――」
一斉に飛び掛かってくる、金属の塊たち。妾の腕から、また一滴、血が滴り落ちた。




