《第390話》『正体』
鈴木さんが、自分の顔に手を当てた。指がまるで、葉の上を這うナメクジのようにぬるりとその肌の上を滑る。そして――、
「この国のために、あなたが退治された後でねぇッッ!!」
バリっと、その面の皮を剥いだ。
「な――ッ!?」
「――ッ!!?」
剥されたその皮の下。そこにあったのは、光を鈍く反射する、鈍い銀色をした金属の顔。
赤く光る両眼に加え、同じくして輝く、額には第三の目があり、さながら、それは異形の頭蓋骨の金属レプリカを思わせる。
「ワタシタチの、ホントウのスガタをミせてあげるワよォッ!!」
人工的な正体を明かした鈴木さんが両手を上げると、衣服とエプロンが引きちぎられ、金属のフレームが飛び出してきた。
さらに、鳴狐によって沈黙していた首無し腕無しの佐藤さん、そして衣服と肌がドロドロに溶かされていた高橋さんの五つのパーツも同じくして、金属の部品を露わに。全て、鈴木さんへと集約していく。
「――っ、随分と、面妖な姿となったモノだ」
そうして現れた、三人のご近所さんの集合体。三つの目が赤く光る頭部を、さらに三つ持つそれ。
巨大な両腕にはまるでショベルカーのグラップルのような鋭い爪が生え、下半身はネコ科の動物の胴体を思わせる四つ足の化け物。
三本の尻尾は鞭のようにしなやかに蠢きながらも、それ以上に太く強靭で、その先端にはオオオナモミのような形の鉄球と長い針が伸びている。
何がどうしてそうなったのか。どのパーツがどう接合されてそうなったのか。
金属の怪物が、僕らの前にその正体を現した。
「キャハハハハハハハハハハハ! これがワタシタチのシンのスガタ! 『SST-01・Ver.2.0』、『サンジン・ショコウ』よォ!」




