《第387話》『ドジでも強者』
「は、鼻、いひゃい――……っ」
「あ、相変わらずだね、君も」
僕の鼻先3mmに落ちた剣に冷や汗を垂らす。こういう真面目な場面でも、やっぱりこのヒトのドジは変わらないようだ。
「え、ええっとぉ――? そこの狐さん、結局何しに来たのかしらぁ?」
「ぐ、ふ、ふふっ、聞いておらなかったのかえ? 余は、狂気鬼のヤツに喧嘩を売りに来たのじゃ。じゃが、どうにもその前に、貴様らが邪魔な壁となっておるようじゃのう?」
「セリフだけはカッコいい――! だからせめて立ち上がってから言って……っ」
「うぅん、じゃあどうするのかなぁ~?」
「知れたこと。ならばその壁、打ち砕くだけじゃ」
「おっけー。佐藤さん」
地面に伏していた鳴狐を、突如として爆風と無数の銃撃が襲う。
それが放たれた方向を見ると――なんと、佐藤さんが首を落としたままで両手に銃を握っていた。
「そんな――!?」
「いぇい、油断きんもつぅ~♪」
「貴様らが、のう?」
「へ――?」
佐藤さんの銃を構えていた腕が、両方ともぼとりと地面に落ちた。
――いつの間にか、僕の目の前にあった藤原 鳴狐の剣が消えている。
「どうした? 口をぽあっと開けっ放しにしておると、虫が入るぞえ?」
「っ! きぃ~~~~~っ! チョーシ乗ってくれちゃって! どこの誰かは知らないけど、私達相手にいつまで余裕かましてられるかしらねぇッ!」




