《第382話》『全ては掌の――』
「フフン、あれだけ頼まれちゃ、動かないわけにはいかないのよねぇ?」
「――ッ! ……、――っ!」
「コノ、オランダ、デ、アクジ、ハタラカセナイッ!」
色々ツッコミどころのある四人だが、あの三人からいとも容易く二人を奪い返すあたり、流石呉葉の連れてきた「四天王」と呼ばれるヒト達だと思う。
「ワシら四天王、四人集まれば狂鬼姫サマに匹敵する実力と言われておる。この程度、造作もないことだ」
「ハワイアンしんしかめんかっこいーっ!」
「彼、仮面なんて付けてないわよ――?」
濛々と上がる粉塵を前に、そう決めて見せる彼らの姿は、謳葉でなくともカッコいい、と言いたくなるモノだった。――ホントに、見た目とか立ち振る舞いとか身なりはすごく残念だけど。
――だが、そんな様子に見惚れているのもつかの間だった。
「ひぃっひっひっひ――ッ!」
「――っ!」
煙が晴れ行くと、そこには変わらず、佐藤さん、鈴木さん、高橋さんが立っていた。
僕には正直、何が起こっていたのか理解できていなかったが――零坐さんや四天王の驚いた顔を見る限り、致命打を与えるような一撃だったのだろう。
「んー、まあ、こっちだってそう言うの、想定していなかったわけじゃないのよねー?」
鈴木さんがそう言って唇に人差し指を当てると、四天王全員が、突如地面に膝をついた。




