《第381話》『人と鬼の血』
「『つなぎ』――?」
「作業するときに着るものじゃないわよー? それ以上はぁ――きゃーっ! 言えない言えないっ!」
どうにも真面目さにかける態度であるが、状況は本物だった。
子供でもかなりの力があると言うのに、エリートと呼ばれるだけあって、彼らの力はホンモノだった。どうにか隙を見て、あの子達を助けてあげたいが――、
「あ、ちなみに生きて連れて帰って来い、なんて言われてないですからねー? 変な動きしたら、ちょっと危ないかも?」
その身の安全を考えると、下手に動くことは出来なかった。
僕は、相変わらず無力――、
「おおッと、ワシらがいることを忘れて困るなァ?」
「……――っ!」
僕と零坐さんの後ろから、四つの影が飛びだした。それらは三人へと俊敏に飛び掛かっていくと、電光石火の早業で駆け抜け、謳葉と活葉をかっさらう。
直後、さらに爆風にも似た衝撃が発生。エリート三人は、瞬く間に粉塵に飲みこまれた。
「少々面倒臭いが、狂鬼姫サマの命令なのでな」
「おかーさんが呼んだおじちゃん!」
「誰がおじちゃんだ! 今はハワイアン紳士と呼べェッ!」
「――意味が分からないわ」
アロハに身を包んだご老人が、謳葉と活葉を両脇に抱えてエリート三人に対峙している。
絵面だけ見れば、すごく奇妙、だ。
だが、頼もしい。




