《第379話》『ご近所さん型式神』
「っ、なに!? さわらない、で――っ」
「…………」
「きゃふふふふっ! 怖くなーい怖くなーい、大人しくしててねー?」
「ひぃっひっひっひっひ――」
佐藤さんが、その大男の腕で謳葉と活葉を地面へと押さえつけていた。相変わらずの鈴木さんのマイペースな声に高橋さんの不気味な笑い声はいつも通りなのに、彼らの突然の行動は、僕や零坐さんを動揺させるに十分だった。
「な、なんの冗談ですかな?」
「いやー、それがじょーだんじゃなんですよね向かいのおじいさーん」
「くっ――離しな、さい……っ」
「ひひひ、ひひっひひひっ!」
「あぐァッ!?」
「活葉!」
「ッ、活葉なにするのッッ!! ――うッ!?」
「謳葉! 活葉!」
妖力を使おうとした活葉を、高橋さんはその全身から黒い霧のようなモノを出して押さえつけた。
一方の謳葉も、佐藤さんにさらなる力を持って押さえつけられた。二人の力が拮抗し、地面に亀裂が走る。
「私達ぃ、道摩様の式なのよねー?」
「道、摩――え、それって……」
「そう! 樹那佐さんの上司も上司! 平和維持継続室のトップ、道摩様だよっ! 私達ぃ、あのヒトの式だからその命令で動いてるのよねぇー! きゃーっ!」




