《第376話》『秘密の明かされる時』
「いい加減、姿を現したらどうだ? 客を前に、声だけ聞かせて待たせ続けるなど、碌な家主ではないな」
『計画の進行に8分06秒の遅れが生じています。成功率2%の低減を確認』
「ちっ、ユーモアにユーモアで返すどころか、完全に無視され――」
『その申し出を承諾します』
「っ、結局聞くのか――!」
白い人型と共に、床が六角形の形に切り取られ下に降りた。その穴は、すぐに床の一部がせり出し蓋がされる。
「む――」
周囲で鳴り響く機械の音に、変化が見られた。この床下で、何かがひたすらモーターの駆動音と共に走り回っている。
そうして、部屋の中央に。巨大な機械が出現した。
「――っ!」
床ごとせり出した、無機質な金属光沢を放つその機械。六角形を組み合わせた床面積に即したサイズで、六つの方向へ均等に、最上部からまっすぐ下に伸び、高さの三分の二のあたりで斜め外側へと方向を変えた金属パイプ。
そんな中に、水槽のようなガラスケースが納められている。同じように六角形を底辺とした六角柱と思しき形で、パイプに支えられるようにして囲まれている、が――その中に、明らかに異質なモノが浮いている。
『久しぶりの再会をここに記録します、狂鬼姫・呉葉』
「妾の知り合いに、ルパ○三世と賢者の石の争奪戦をしたヤツなどいないはず、だが」
それは、人間の脳ミソそのモノだった。
『同時に、「UK-00000002」再調整を開始します』




