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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十二章
355/1022

《第354話》『過去の紙片・五枚目』

「白鬼! 今日は汝に人としての名前を与えようと思う!」

「いつも思うのだが、どうして貴様の行動はいつも唐突なのだ」


 自身が調理した獣肉をいただきながら、白鬼は呆れた視線を送る。

 なお、今回は道摩法師が買い付けてきたひしおで味付けが成されている。庶民にも、ましてや貴族にも味わうことのできない食事だ。


「唐突ではないっ! 我はいつも、常日頃考えて行動しているのだっ!」

「その割に、失敗が多いようだが? 予定を練っているのであれば、ここまで転ぶまい」

「い、いつ我が失敗した!」

「この前貴様が思いついたと言う罠、猪に容易く突破された上げく家に穴を開けられたが」

「ぐわっ!」

「いつも似たような状況、同じ相手に術比べで負けているのは誰だ」

「ぐわわっ!?」

「怪しげな女にフラフラつられ、挙句の果てにそれが妖怪で、しかも本気で食われる5秒前だったと青い顔をして話していたこともあったな」

「ぐわわわァッ!!?」


 何度となく行われた、徹底的ななじり。今日も今日とて、白鬼の口は全快で、道摩法師の心は徹底的に弓矢で穴だらけにされた。


「だいたい、季節が一巡してからも、一度もそんな話はあがったことが無かったのだが」

「う、うむ、それに関しては、その、すまんかった」

「大体、唐突に言う割にはいつも行動が遅すぎるのではなかろうか」

「今日はその上さらに追い打ちをかけてくるな!?」

「ふん。このくらいで許しておいてやる」

「は、ははーっ! ありがたき幸せ――ッ! で、なくてだな! なんで我が汝に頭を下げておるのだ?!」

「フッ、貴様には地べたの味見をしている姿がお似合いだ」


「――じゃ、なぁーい! 今日は! 汝に! 名前を!」

「はいはい、分かった分かった。期待せずに聞いてやる」

「ぐ、お、おのれぇ――っ! 絶対に感嘆の声を漏らさせてやるから、覚悟するがいいっ」


 そう言って、道摩法師は一息つくと、何もないところから紙切れと筆をぽんっと出現させ、さらさらと文字を書き始めた。


「白鬼、此度より汝は、『呉葉』となのるがよいっ!」


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