《第345話》『狂鬼姫・四天王』
「折角ハワイでバカンスを楽しんでたと言うのに、いったい何のようだ?」
「アタシが地下アイドルとして輝いていましたのに、もーっ!」
「…………」
「ココ、北海道カ――?」
「ええい、お前らァ! そんなことを言っている場合ではないのだぞ!」
集まった剣奉、臓惹、静菱、百棍の四人は、それぞれ口々に勝手な都合を口にし、他の妖怪共では到底できないようなだらけた姿で目の前に居た。
剣奉――アロハシャツのハゲジジイ。
臓惹――全体的に赤いド派手ファッションに身を包んだ女に見えてオカマ。
静菱――貴婦人の亡霊のごとき姿の長い黒髪の女。
百棍――身の丈三メートルはあろうかと言うアホ。
こやつらは、かつて狂鬼姫として名を馳せていた時代であっても、その扱いに苦労したほどの問題児たちだ。
その四人どれもが文句のつけようのない実力を持っているが、それゆえに、ヒジョーに我儘がすぎており、しょっちゅう自分勝手な行動をとる。
例えば、西に居る○○をしばいてこい、と言えば途中で飲んだくれてるわ、東に居る○○が暴れているからはったおして来い、と言えばなぜか西で男を誘惑したりガッカリさせていたり。
北に行って○○を封じてこいと言えば自宅から一歩も出ず、南に行ってなんとなく鳴狐を殴って来いと言えばなぜか西で迷子になっている。
やりたい放題、自由気まま。それが、我が選ばれし配下。狂鬼姫・四天王たちだ。
「――で、お前たちを呼んだのは他でもない。近々……ってぇ、話を聞けェッ!?」




