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《第344話》『奴らは今日も自由奔放です』
「――敢えて言わせていただきます。『狂鬼姫』様」
「む――?」
「『奴ら』に力を借りるのは、不可能でございます」
元より、一癖二癖以上に面倒臭いヤツらだ。だから、もし召集をかけても色々ごねることだろう、とは思っていた。
よもや、声をかける前に断られるとは思いもしていなかった。
もっとも、妾が「狂鬼姫として」再び召集をかけることなど、思いもしていないだろう。妾自身も鬼神時代のしもべをコネとして頼るなど、さっぱり思っていなかった。
だから、奴らにも各々事情があることだろう。場合によっては、そのまま大人しく暮らさせてやるべきかもしれない。
と言うワケで、集まれない理由を零坐に問うておく。
「理由は?」
「剣奉はハワイ旅行に」
「――は?」
「臓惹は秋葉原でグッズ召集へ」
「は?」
「静菱はゲームのために引きこもり」
「…………」
「百棍は北海道へ行こうとしてブラジルで迷子に」
「……………………」
「――呉葉様?」
「全員呼び戻せ、今すぐにだァァッッッ!!!」




