《第343話》『奴ら』
「零坐、邪魔するぞ!」
「じゃまをするのならかえりたまえ」
「ぐぼぁっ!?」
旧きしもべ達へと呼びかけるために、その中継を纏めていた零坐に協力を仰ごうと家に入ったらこれだ。
金髪の幼女が、舌ったらずな言葉遣いとは全く不釣り合いな知的&不遜な言葉で、早速妾のハートにナイフをつきたててくる。やっぱりこの娘が妾は苦手だ。
「こ、これイヴ! 狂鬼姫――ではなかった、呉葉様。ようこそいらっしゃいました」
「う、うむ、久方ぶりだな」
「――? お隣同士ですし、ついこの間も回覧板を持って行ったときに顔を合わせたばかりでは」
「なんとなく、ものすごく久々に会った気がしたのだ! したったらしたのだ!」
「く、呉葉様、落ち着いてくだされ。それで、本日はどのようなご用件で?」
おっといけない。イヴのせいで、要件が頭から出てこなくなるところだった。
ともかく、玄関でこんな話をするわけにもいかないので、客間に通してもらう。
「零坐よ、これからの時代に危機が迫ってきている」
「ど、どう言うことでしょうか?」
まあ、いきなりそんなことを言われでもすれば、UFOでも見たような顔もしようと言うモノ。まあ、詳しい説明は後だ。そう思い、先に要求を伝えることにした。
「『奴ら』に呼びかけを行ってほしい」
「っ、『奴ら』ですか!?」




