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《第340話》『守る者、守られる者』
「ぐすっ、夜貴め、ばかものめ――っ!」
気が付けば、妾は屋上にいた。どうやら、訳が分からなくなってわーっとなると、高いところに上りたくなるらしい。――妾だけではないと信じたいところだ。
「…………」
しかし、思えば夜貴の言っていることにも一理、本当に一理程度、あるとほんの少し思わなくもなかった。
妾は、自分が強大な存在であると自覚している。だから、「力」を持つ者の責任として、平和を脅かす脅威の「力」を、自らの「力」でねじ伏せようと実際に考えていた。
無論、夜貴の言うことも、本当は言われる前から気が付いていた。今の妾には、対等な関係の者が何人もいる。そのような同胞達を差し置いて、自分一人でやるべきだと勝手に宣言し、解決しようなど。傲慢以外の何物でもない。
だが、それでも、だ。
「力ある者が率先して矢面に立たねば、守りたい者達が守れんではないか――」




