《第339話》『僕は一途だっ』
「なんか、ここのところ最近藍妃はいつも会うたびにこんな目に合ってる気がする――」
「はらほれひろはれぇ~……」
記憶を消された影響で、ふらふらとなっている彼女を見て顔を引きつらせながら僕はつぶやく。ただし、今回はちょっと強引な消され方だったことをやんわりと記しておく。
「――えっと、大丈夫、なんだよね? いろいろと」
「このおんなのひとのこと? うん、いのちにべつじょーはないよ?」
「ちなみに、このひとはおとーさんのなに?」
「え? なに、って――」
「活葉! 活葉! きっとあいじんだよ!」
「違うよ!?」
「おとーさん――おかーさんと言うものがありながら……」
「だから、違うって! 違うってばァ!」
全く、どこでそんな言葉を覚えてきたんだこの娘達は。――未来の娘。ちょっと突然すぎて実感はわかないけど、将来的に自分が親の立場になったら、とりあえず影響の与えそうなモノには注意を払っておこうと思った。
「――とにかく、呉葉の話を聞く限りだと、悪いヤツに対抗できる手段が必要なんだよね?」
故に、彼女は僕のところへ来た。コネを頼りにされる、と言うだけでも、僕としては嬉しかったりする。
口ではああはいいつつも、僕が呉葉のためにできることがあるのか。と言うのは今まで何度も考えたことがあるからだ。
「――ちょっと怖いけど、分かった。連絡してみる」




