《第三十三話》『バーニング!』
「夜貴ァ! なぜそのアイテムを取らないんだァ!」
「わああっ!? ごめん!」
「何をそんなヤツにやられているのだァッ! もっと1f、1fよく見れば相手の行動など簡単に予測できるだろう!!」
「無茶言わないでよ!? というか『1f』って何!? 竜巻の強さの単位!?」
「それは『藤田スケール』だ馬鹿者ォ!」
CPUの操る敵ごときに吹き飛ばされる、夜貴の操るピンクボール。レベルMAXとはいえ、所詮はルーチン通りにしか動かないというのに、何をそんなに苦戦するのか。
「うわっ、やられた!」
「何をやっとるかァ!」
「――ねぇねぇ、呉葉」
「なんだ?」
キャラのストックがなくなった夜貴がコントローラーを置いた。その改まった雰囲気に、妾もまたコントローラーを置く。
「呉葉って、ゲームしてると性格変わるよね」
「…………」
「…………」
「あー……夜貴?」
「うん」
「ヒトは誰しも、熱い《ホットな》魂を持っているものだと思うぞ」
「…………」
「…………」
「呉葉ぁ――」
「な、なんだ?」
「ゲームに熱中したり車乗り回したり――本当に、古来から存在する鬼?」
「――我ながら、自信がない」




