《第330話》『妾は古今無双の鬼神なり』
「おかーさん? ムズカシーかおしてどしたの?」
「ん? あー、ああ、別に何でもない。心配しなくともよいぞ?」
妾の予定では、最高責任者とかのたまう室長とやらに話を付け、強力な戦力を寄越してもらうつもりだったのだ。そして、妾自身が一声かければ、妖怪側の戦力もある程度確保できる。
やりすぎ、などと言うことは無い。娘たちの言葉を信じるならば、将来的にアレはそれだけ強大な脅威となる。
戦力過多でもいいから、何としても撃滅しなければならない。それが故の協力の願い出だったのだが――、
「おかーさん、あそこでの話を聞いてなかった私達が言えることじゃないけど、」
「うん? どうした?」
「ひとりでなやみつづけたって、だめなときはだめだよー?」
「もっと、私達を頼ってほしいわ。そもそも、これは私達が未来から持ち込んだ問題なんだから」
「むぅ――」
娘二人のその気持ちは、ありがたすぎる程ありがたい。だが、自分達の問題であるといかに言ったところで、妾の力に頼らざるを得なかったことを考えると、今の二人にこの状況はかなり厳しいことが明白だ。
何より、やはりよりよき未来の地ならしをしておくのは、年長者の仕事なのだ。
「――お前たちの力は、もう少ししたら借りることにする。それまで、お前たちは妾と夜貴が見ているこの時代を、見物しているといい」
しょうがない。先に、できることをやっておこう。




