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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十二章
308/1022

《第307話》『深淵の底の底、果てなき奥底に宿る思念』

 意味深な謳葉と活葉の言葉に眉をひそめつつも、屋敷の奥へと進む。いくつもの広い部屋があるが、やや埃っぽいだけでおかしな点は無い。

 それ以外には、先ほどのような夜貴の放った邪気の塊が襲い掛かってくるくらい。こちらに関しても、妾と娘二人の戦力が圧倒的であるために苦労とはならない。


「えっと、このさき――だったっけ?」

「そう。――おかーさん、覚悟はいいかしら?」

「…………」


 そうして訪れた、木の門で封じられた一つの部屋の前。ここは屋敷本体の離れにある建物で、全体から見てもかなり奥まった場所にある。

 そして、妾はこの部屋に一度も近づいたことが無かった。遠方から目にする機会は何度もあったが、そちらの方へ足が向いたことは無い。


 ――なぜなら、この身体事態が、歩みを進めることを拒否していたのだから。


「――よし」


 妾は、覚悟を決める。すると、それを合図と取った双子の娘が、巨大な門の取っ手へと背伸びしながら手をかける。

 緊張が走る。頬をつたった汗が顎から滴り落ちる。温度は高くなく、むしろひんやりとしているのに。脇がびっしょりと湿っている。


 そうして、扉が空いた時――、


 妾の全身を、破裂させるかのような寒気が走った。


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