《第二話》『メインディッシュはお手製ステーキ!』
「ええっと――自信、さ、く……?」
「どうだ、素晴らしいだろう?」
「あの――作っていただいている手前文句を言うワケでなく、しかし突っ込まずにはいられないのであえて言わせていただきますけど……、」
「むん――?」
「これ、一枚肉焼いただけだよね――?」
本日の夕食メニュー! 米飯! お味噌汁! レタス! トマト! そしてメインディッシュは豚の一枚肉を焼いたステーキだ! シンプルだけどおいしそう! けど、自信作と言われた手前、僕はやっぱり突っ込まざるを得ない!
「何を言う。この塩胡椒で味付けしたステーキは、妾の自信作に他ならないぞ?」
「その心は?」
「妾が初めて焼いたステーキ」
「表面だけ焦げた中身生ぁ~……」
表面も、そして、中見もあの時はひどかった。いつも自信満々な呉葉が、猛省する程、あの時のお肉はひどかった。
強火だけで焼くと、犠牲となった豚さんに謝りたくなる状態になってしまう。
「つまり――そう言うこと?」
「ああ! 安心して食べるがよい! そして、妾の成長を噛みしめよ!」
「そうさせてもらうよ! いただきます!」
表面は焦げておらず、きっと中まで火がきちんと通っているのだろう。きっと以前のように、電子レンジで温め直す必要もなく、美味しくいただけるに違いない。
――ジャリッ
「――あれ?」
なんと、中身だけがハードウェルダン!
「く、呉葉――なんで表面円滑で中身焦げてるの? 器用過ぎない?」
「むぅ――おかしいな」
呉葉は口元に手をやって、思索にふけり始めた。
「使い慣れている鬼火で焼いたのだから、てっきりうまく行くかと思ったのだが――」