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《第286話》『こまめな充電、意識しましょう』
『電話だぞ♪ 電話だぞ♪』
「――っ!」
僕の携帯電話から着信を知らせる呉葉の声が響く。かかってきた先を見ると――画面には「呉葉」と記されていた。
「も、もしもし?」
『………………………………………………………………………………………………………』
「もしもし?」
『………………………………………………………………………………………………………』
「もしもし? もしもーし?」
『ピピッ』
慌てて手に取り応える。が、いくら呼びかけても返事は帰ってこない。
それどころか、「ピピッ」と言う妙な電子音が鳴り始める始末。不審に思って手に取って画面を見てみると――、
「電池、切れ――」
すっからかんな電池を思わせる絵に射線が引かれたそのマーク。充電を忘れていたことを、今完全に思いだす。
かかってきていた呉葉からの電話は、強制的な電源オフと共に切られてしまった。




