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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十一章
284/1022

《第283回》『ヒトを変質させるほどの焦がれる想い』

「…………」

「あっ、最後の一枚――」


 妾は、鬼になったばかりの理性も何もかも失い暴れていた時を思い出し、すぐそこにあった煎餅の袋を開けつつ思う。


「あの時、最後はどのように決着が着いたのだった? ばりばりむしゃむしゃ」

「き、貴様ァ!? 余が明日食べようと残しておいた固焼きをォ!」

「ん? 食べるか?」

「食べさしをこっちに向けるんじゃないっ! 誰が貴様の口をつけたモノを食うかえ!」

「全く、自分のモノを主張したかと思えば要らんと言うわ、我儘なヤツだな」

「お、横暴という言葉は、貴様のためにあるような言葉じゃな!」

「――んで、どう幕を引いたのだったか、覚えているか?」

「うるさいっ! 貴様なんぞに教えてやりとうないっ!」


 むむ、置いてあるからよいモノだと思っていたが、どうにもへそを曲げてしまったらしい。

 勝手にヒトのモノを食べてはいけない。肝に銘じておくか。


「大体、そんなことを聞いてどうするのじゃ? 夜貴が鬼になった時、理性を戻すための手がかりでも聞きだそうとでも言うつもりかえ?」

「む――」

「最初に言っておくが、無駄じゃぞ」

「それは夜貴が人間だから、助けたくないと言う意味か?」

「そうではない。相手が敵である貴様であったとしても、ケチなどでは決してない余は、多少のことくらい語ってやるつもりじゃ」

「――つまり、どう言うことだ?」


 妾には茶を出さず、自分だけ茶をすする鳴狐は、一呼吸おいてから口を開く。


「いつ終わるとも知れぬ戦い、それがひたすらに続くだけだ」


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