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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十章
273/1022

《第272話》『二人の狂鬼姫はその先に何を見るか』

「呉葉!」

「なんだ?」

「パンケーキ焼けたよ!」

「う、うむ――」


 夜貴の変貌事件から、一週間ほど経っていた。

 一見のどかで平和な光景であるが、実際その通りで、特にさしたる事件も起こることは無く、あの時の騒ぎがまるでウソのようである。


「――それにしても突然休みなんて、一体どう言うことなんだろうね?」

「あー、まあ、あんまり働きすぎだと妾が寂しさで死んでしまうからな」

「確かに白いけど! うさぎじゃないでしょ!? また何かしたの!?」

「妾は己が望むことを必ず成し遂げる存在なのだ――!」

「もーっ、あんまり無茶苦茶しないでよー?」


 夜貴はパンケーキの切り分けへと戻ってゆく。

 そんな夫のあの時の記憶も、ついでにカオルとか言うヤツの記憶も消し去っておいた今、その騒動もなかったことになっている。妾は本部へとその存在を知られず、また、夜貴は何ゆえかみなぎらせていたカオルへの殺意も、そもそもの存在も覚えてはいない。


「ああッッ!!?」

「っ、どうした!?」

「バターが無いッ!」

「作るのに使ったのではないのか!?」

「違うよ! チューブ使ってたから、四角いアレがないことに気が付かなかったんだよ!」

「四角いアレって――いや、充分、充分伝わるが……」

「近くのコンビニで急いで買ってくるね!」


 そう言って、夜貴は財布を持って慌てて出て行った。いっそもうチューブバターでいいではないか――。あーあー、出来立て、が……?


「んむっ、んむっ、何もつけずとも割と美味いではないか」

「んなァッ!?」

「うむ、一週間ぶりだな。本物の妾よ」


 パンケーキの方を振り向くと、折角のそれを勝手にもっしゃもっしゃ食べよる、幻影の妾がエラソーにフォークを握っていた。


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