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《第263話》『爆弾放置』
「――それで脅しているつもりですか?」
「ほう?」
カオルさんは、相変わらず怖い顔のまま幻影の呉葉を睨んでいる。
「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているもの。既に覚悟は出来ています」
「ほう、それは結構なことだ。ならば妾はこれ以上言うまい」
そう言って、幻影呉葉は手を降ろした。
直後、大爆発が巻き起こる。
…………、
「一つ、面白いことを教えてやろう」
「っ、まだ――ッ」
「妾はただの幻影、すなわちただの偽物だ」
「――は?」
「本物は――」
幻影の呉葉は、僕の隣に居る少女のような女性を指さした。
「あそこにいる、やたらとファンシーな奴だ」
そう言って、幻影の呉葉はその場から煙のように消えてしまった。
――――…………、
「あいつゥううううううううううううううううううううううううううううううッッ!!?」




