《第257話》『偶然と言うのは恐ろしい』
「アハハハハ!? 今日の衣装はまた一段と滑稽だな!」
「妾とてこんな真っピンクは好みなどではない――ッ!」
幻影と呉葉が対峙する。実にあの時の旅行以来の顔合わせだろう。
「しかし、フム――なるほどな」
「なるほどな、ではなかろう! 貴様はもう少し空気を読めんのか、何故このタイミングで現れたのだ!?」
「そのようなことを言われたとしても、妾は言い訳も何もできぬぞ? ぶっちゃけ、妾はこいつが誰なのかもよく知らぬ」
胸を張られてそんなこと言われても――まあ、このヒトの自由奔放っぷりを見るに、実際に他意はないのかもしれないが。
「そんなことはどうでもいいのです!」
と、カオルさん。
「重要なのは、そこにいる童女のようなちんちくりんが、滅ぼされたと思われていた狂鬼姫であると言うこと!」
「ぐはっ!?」
「――どうしてピンクのヒトが吐血するんですか?」
「ななな、なんでもないよカオルさん!」
「そ、そうだ、夜貴の言う通り、なんでもない、ただの持病だ――!」
まあ、流石にこれだけ本物の呉葉の服装が奇抜だと、本人だとは思われないようだ。しかし、状況は依然としてよろしくない。
どうすれば、呉葉の存在を本部に隠し通せるのだろうか――。




