《第256話》『エキセントリックピンキー』
やばい。切られた電話を見て、僕はすぐ先の未来を憂えた。
「ほぅれ、どうしたどうした? お得意の爆発呪文とやらは。それでこの妾を倒すのではなかったか? この鬼神・狂鬼姫を」
「くぅ、うううううっ! 何故だ、何故発動できないんですか――ッ!?」
「所詮、貴様に扱えるような技ではなかったということだ。矮小な人間の身では、その大技は扱いきれまい?」
「小さいのはっ、あなたも同じでしょう――ッ!」
「妖怪を見た目で判断とは、ドシロウト理論ここに極まれり! やはり貴様はその程度であることを感じざるを得まいなぁ?」
ただでさえ自体は悪化(ただ狂鬼姫がカオルさんの手をやさしぃく握っているだけだけど)しているのに、これ以上「狂鬼姫」が現れてしまっては本当に収拾がつかなくなる。
変装すると言っても、彼女のその技術は名前だけを書いたテスト答案のようなモノなので、当然何の期待もできないのだ。
それなのに、ものすごく今は来てほしくないのに、
「夜貴ッ! 無事かッ!!?」
ピンク色のウィッグに、薄桃色のキャペリンに、肩掛けのバッグも同じ色でやはりピンク色ベースの裾の長いドレスになぜか妖精の羽めいた飾りを背中につけて、
「ちょっと、くれ――誰ッ!?」
どうしようもなくピンキーな姿で、来てしまうんだよなァ、うちのお嫁さんは――。




