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《第253話》『ある意味、最も魔王らしいヒトかもしれない』
「っ、な、何者ですか!?」
「うん? お前こそ誰だ?」
現れたその白い姿の少女。その姿は、紛れもなく呉葉そのモノである。
だが、僕への呼び方。さらにまとう雰囲気の違い、具体的には本物はのほほんとしていてどこかぬけているところがある。
しかし、この呉葉からはそんな温い様子は感じない。むしろ、カリスマめいた何かがある。
要するに、この呉葉は物理幻術によって生まれ、なぜか消滅することなくあり続ける方の呉葉である。
「私が何かなど関係ありません! あなたはどう見ても妖怪ですね?」
「そうだとも。それも、相手が自ら先に名乗り出ない礼儀知らずであっても怒りなどしない、寛容な妖怪だ」
「っ、妖怪のクセに生意気な――!」
カオルさんが、腕を構えた。――マズい!?
「イオナズン!」
そのキーワードと共に、当たりが光に包まれた。




