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《第251話》『経過観察』
「シンジン! これ全部、コピーしておいてくれ!」
「はい」
カオルさんがディア先輩に頼まれた仕事に行く様子を、僕は横目で見送る。
淡々と仕事をこなし、手際も僕よりずっと良い。ここへきて数日と経っていないが、とても有能な様子を感じる。
一方で、能力自体はかなり安定していないようで、一つの爆発事態の規模は変わらなくても、放たれるエネルギーは場合によって大差がある。が、荒事も充分任せられる程度には力がある。
「樹那佐さん、どうされました?」
「え? あ、いや――」
「手が止まってしまっては、後の雑用も滞ってしまいます。お願いします」
「うん――」
あと、容赦がない。
別に、仕事の能力に嫉妬しているというわけではない。――いや、全く無いとまでは言いきれないけど、少なくともキリキリとした想いは感じない。
ただ、やはり考え方は平和維持継続室本部が考えているような、異なる者の徹底的な殲滅を常に置いているようで、僕から見ればやはり過激であると言わざるを得ないのが現状。
…………。
あと少し。あと少しだけ。様子を見よう。




