《第244話》『極大爆裂呪文!』
「特技はイオナズンです」
「――はい?」
所長の疑問を一文字で表した言葉だが、自分の机で聞いていた僕も全面的に同意したいと思う。「おなおずん」って、何――?
「え、えっと、イオナズン――とはなんですか?」
「魔法です」
「はぁ――」
「敵全体にダメージを与えます」
淡々と、黒髪短髪で小柄、男か女なのかよくわからない顔の目の前のヒトが答える。無表情であるため、何を考えているのかは分からない。
ただ一つ言えるのは、このヒトは新しく平和維持継続室に所属することになり、本部からここへ配属されたハンターの一人である、と言うことだ。
「ここで働く上に置いてメリットは――充分ですね……」
「はい。敵が襲ってきても守れます」
はっきりと断言するなぁ――なんか、僕よりもずっと有能そうだ。
「新人、そうは言うけどさ。あ、アタシはクラウディアな。ディアでいいよ」
「何か?」
「アンタの言うそれは、どれくらい強いんだい?」
「敵全体に100以上与えます」
「いや、基準の分からない数値で言われても――」
「100ヒットポイントです。HPとも書きます。ヒットポイントと言うのは――」
「そう言うことを聞いてるんじゃないって――っ!」
「あれあれ? 怒らせていいんですか? 使いますよイオナズン?」
「沸点低いね!?」
「――どうやら今日はMPが足りているようです」
――事務所が大爆発を起こした。




