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《第243話》『平和の後に起こりたるは』
「夜貴、妾は平和が好きだ」
「うん、知ってるよ」
「鬼ゆえについ戦いに血が騒ぐこともあるが、それでも平和を愛している」
「うん、それもわかってるよ」
「だから――」
「…………」
「夜貴、コーヒーメーカー欲しい!」
「ダメだよ!」
「なぜだ!? ワンボタンでコーヒーを入れてくれる素晴らしい機械なのだぞ!?」
「そんなのなくても粉とお湯入れればできるじゃないか!」
「そんなモノ言われずとも分かっておる!」
「せめてもう少し利点を引きだしてから言いだしなよ!? ともかくダメだよ!?」
「だからなぜなのだ!?」
「以前浪費しすぎてゴメンって言ったの誰だよォ!?」
「ハァ――ハァ……」
「ハァ――……ふぅ」
「なあ、夜貴」
「何?」
「こんなことで喧嘩できるとは、やはり平和だな」
「まるで世紀末状態から帰還したみたいに――」




