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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第九章
241/1022

《第240話》『母』

「夜貴、妾の胸に飛びこんで来いっ!」

「いい加減反応が飽きられてるかもしれないけど言うね? 藪から棒にどうしたの!?」


 小柄な身体を精一杯広げた呉葉。相変わらず、妙に自身に満ち溢れた顔をしている。


「今日は母の日、であろう?」

「呉葉は僕のお母さんじゃないでしょー」

「んなこと言われんでもわかっとるわい」

「じゃあどうして――?」


 首を傾げる僕に、呉葉はふっと優しく微笑んだ。


「お前が孤児だからに決まっているだろう?」

「え――?」

「夜貴、お前は母親の顔を知らぬと言っていた。すなわち、母のぬくもりと愛情を知らぬと言うことだ。だから、な――?」

「呉葉――」

「と言っても、妾自身どう言ったモノかはよくわからんが――おっと、これは余計だな」


 呉葉は誤魔化したが、僕には彼女が分からないと言った意味が、なんとなく分かる。

 鬼になる前から、呉葉は今のような白髪で赤い瞳だった。そのせいで、周囲からも疎まれていた。それが、実の親だけ例外だったとどうして言えよう?

 そんな彼女が、分からないなりにも僕のために「母」を演じようとする心意気を見せている。僕は、そんな呉葉の気持ちに応えないわけには――、


「あと、だな」

「うん?」


「なんかくれ! 母の日だから!」

「一瞬で様々なモノを台無しにしてくれたねェッ!?」


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