《第239話》『偶には、素直に伝えてもいいよね――?』
「妾、最近鬼であることをビミョーに忘れられている気がするのだ」
「以前は思いっきり疑惑を否定してたよねぇ今更改めて言う!? 三十五話参照!」
「しかしだな、こうリビングのソファに寝っ転がって煎餅を齧ってると、己では否定したくとも、客観的に見れば――」
「うん。おばちゃ――いだいっ!? 食べかけの煎餅なげちゃ駄目だよ!?」
「そこで、だ。ここらあたりで妾が大昔に多くの妖怪や人間を配下に置いていた強大な存在であることを示しておかなければならぬと思うのだ」
「――どうしてそんな突然?」
「突然でも何でもなくそうなのだっ! そうしなければならないのだっ! けっしておばちゃんウォーズで我が身の立場を忘れて震えていたからではないぞ!」
「なんだかんだ言ってもやる事成すこと子供だしね。体格も」
「ええい、やかましいわい! とにかく! 何が何でもここで妾自身の鬼神としての力を見せつける! 見せつけるったら見せつける!」
「う、うーん――」
「くっくっく、夜貴のみ、この世が終わるのではなかろうかと言う恐怖に陥れて――」
「で、何をするの――?」
「えっ!? い、いや、こ、怖がれ、怖がるのだ夜貴!」
「そ、そんなこと言ってもなぁ――」
「な、なんだ、じっと見つめて――?」
「だって、呉葉は何やっても――か、かわ、かわいい、し……」
珍しく、呉葉の方が鼻血を噴いた。




