《第237話》『子供の日』
「夜貴っ! 子供の日だ、何かヨコセ!」
と、うちの嫁が両手を上げて申しております。先日のお金使いすぎた問題どこ行った。
「いや、今日は確かに子供の日だけどさぁ――呉葉は子供じゃないでしょ」
「妾は忘れておらんぞ。先日、零坐の孫と遊んでいたときに子ども扱いしてくれおったことを」
「結構――とまでは言わないけど日数経ってるよ!?」
「くっくっく、忘れたか? 鬼とは怨みの権化なのだぞ? さあ、妾を子ども扱いした責任、取ってもらおうかっ!」
うーむ、悪い顔。まさかからかい半分に言ったあの発言を根に持っているとは思わなかった。まあ、どちらかと言うとただ「ナンカクレ」と言いたいだけなのかもしれないけど。
ひとまずアレだ。こう言う時は、本人に何が欲しいか聞いてみるのが一番失敗がないはず。
「呉葉は、何か欲しいモノあるの?」
「お前の気持ちを表してくれるモノならなんでも」
こう来ると思ったよっ! と、心の中で叫ぼうと思ったが、すぐに呉葉は「だが、まあ」と僕の心の発言を遮った。
「子供の日、と言うモノはいろいろ飾り物をすると思う」
「あ、鯉のぼり欲しいの?」
「最後まで聞けィ! 念を押すと、鎧兜とも言うつもりもないからな!? だがまあ、ヒジョーに関係するモノだっ!」
「まさか――」
呉葉は背伸びして、僕に耳打ちし始める。吐息がこそばゆい。
「こ・ど・も」
僕は鼻血を噴いた。




