《第235話》『沈黙の黄金休暇』
「さて、いつか気が付くだろうなと思い一度も言わなかったが」
「何?」
「夜貴、ゴールデンウィークはどうなったのだ?」
「…………」
「沈黙で間を埋めるのは飽きたぞ」
「そ、そんなこと言ったってぇ~!」
「ううむ、実に見事なのび太君的な言い訳文句――」
「他に言いようがないじゃないか!」
「で、気を取りなおして。結局どうなったのだ?」
「うちにはないよ、そんな金色休暇――」
「――マジで? なのか?」
「マジだよ」
「…………」
「君もやってるじゃないか、沈黙で間を埋める――」
「うるさいっ! なぜ世の中10連休なのにお前に休みはないのだ!? ブラック企業か!?」
「企業じゃなくて国家機関だし、職務柄例外はあっても長期で休むわけにはいかないし、そもそも10連続休めるヒトも世の中一握りだし――」
「ぐぬおおっ! ようやく夜貴との時間ができるとおもったというのに!」
「呉葉――」
「どこかへ連れて行ってもらおうと思った妾の計画が台無しではないか!」
「…………」
「…………」
「結局この沈黙パターンに陥ったわけだけど、それ以前にさぁ」
「うん?」
「一瞬申し訳なくなったことを、とってももったいなく思っちゃう発言はどうかなと思うよ――!」




