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《第232話》『一滴の水と砂漠』
とんとん。とんとん。
「…………」
とんとん。とんとん。
「…………」
とんとん。とんとん。
「…………――――はぁ~」
荒れ果てた砂漠。オアシスの存在しない、無限に広がる荒地。思わず、それにため息をついてしまう。それはもう、とてつもなく重たい息を。
けれども諦めない。いずれこの荒野が、生い茂る草原、森林となることを信じて。信じ続けて、かれこれ20年。
「――所長」
「あっ、狼山君――」
「砂漠が水撒くだけで緑化出来てりゃ、始めから名前なんて付いてないんだぜ――?」
彼の大森林は、今日も元気に潤っていた。




