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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第九章
233/1022

《第232話》『一滴の水と砂漠』

 とんとん。とんとん。


「…………」


 とんとん。とんとん。


「…………」


 とんとん。とんとん。


「…………――――はぁ~」


 荒れ果てた砂漠。オアシスの存在しない、無限に広がる荒地。思わず、それにため息をついてしまう。それはもう、とてつもなく重たい息を。

 けれども諦めない。いずれこの荒野が、生い茂る草原、森林となることを信じて。信じ続けて、かれこれ20年。


「――所長」

「あっ、狼山君――」


「砂漠が水撒くだけで緑化出来てりゃ、始めから名前なんて付いてないんだぜ――?」


 彼の大森林は、今日も元気に潤っていた。


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