《第231話》『定期的な検査は肝心であることを呼びかける話』
「夜貴、お前の目は大丈夫か!?」
「うわぁビックリした!?」
呉葉が勢いよく扉を開けて飛び込んできたために、僕は驚いて飛び上がってしまった。
「今先ほど、テレビで緑内障がどうとかそう言う話を!」
「呉葉ちん、呉葉ちん」
「なんだディア! 今、妾は忙しい!」
「うん、えっとねぇ? すごく言いづらいんだけど、仕事中」
まさしくその通りで、この書類をまとめた後はちょっとしたお祓いをしに行くのだ。
「仕事と健康とどっちが大事なのだ!」
「いや、健康も大事だけど! しかもなんか僕が悪いことをしたみたいだよ!?」
「ええい、いいから眼科に行くぞ!」
そう言うと、呉葉は僕の腕をむんずと掴み、そのままローラーのついた椅子ごと引きずりだす。その力は相変わらずその力は強く、ぶっちゃけ最近の行動からすっかり忘れていたが、彼女が鬼だったことを再確認せずにはいられない。
――と、
「んむ? すまぬ。遊、出口に立たないでくれ」
「ん」
「この紙に書いた点、見えないと緑内障の恐れ――」
「おお、夜貴のために簡単な検査を用意してくれるとは――」
「呉葉、見える?」
「…………」
「…………」
「み、」
「見えない、注意。年齢の高い人ほどなりやすい、よ」
「――ッッ!!?」
20歳にも満たない僕に対し、呉葉の年齢は1000歳を越える。
――一応述べておくと、簡単な検査である程度は分かっても、点一つ書いただけの検査では流石に、賞状があるかどうかは分かりません。




