《第226話》『夢と現実に境で』
「あんた」
「ん、あ~? あぁ――……、ッ!?」
「どうしたんだべ? そんなところで寝てちゃ、風邪ひいちまうよ?」
「おまっ、おま――おま、えっ、え、え……ッ!?」
「――って、なんだべこりゃ? あんた、まぁた随分飲んだべさなぁ」
「う、そのっ、それは――ええっと、だ、なぁ……」
「おら、言ったべ? 酒だってタダじゃねぇだし、酔っぱらったフラフラ足じゃ仕事もできねぇだ」
「ううっ、おっしゃるとおりだぁ――で、でもっ、だ、だべ、」
「でも、もだって、もないべっ!」
「わひっ!」
「部屋の掃除は割と行き届いてるだべが、多分ふうりだべ? この様子だと、家のことは全部あの子に任せて、あんたさは飲んだくれてるんだべな」
「ううっ、返す言葉もないべ――」
「――別に、飲むなとはいわねぇべよ」
「――?」
「ただな? おらは、あんたが飲み過ぎて体調を崩したり、家のことがおろそかになって手遅れになってたら、と思うと言わずにはいられないんだべ」
「だべ――」
「あんただって、ふうりのことを悲しませたくはないべよ?」
「だべ――」
「じゃあお酒は程々にして、自分のやるべきことを考えるべよ」
「わかった、だべ――」
「それじゃあ、おらはもう行くべな」
「っ、どこへ行くべ!? かーちゃんは――」
「ふうりのこと、頼んだべ。な?」




