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《第219話》『天変地異』
「白徳利――?」
聞き覚えのない名前をつきつけられ、アタシは思わず首をひねる。
「忘れたとは言わんぞ、この悪魔めっ! 貴様のせいで、貴様のせいでおとんは――ッ!」
「確かにアタシは半分悪魔だけど! 知らないよそんな名前のタヌキは!」
これまで退治してきた奴らの名前を全て把握している、とまでは言えない。が、少なくともタヌキを切った覚えがないのは確かだ。
「ふむ、ここは『ディアのファンやめます』とでも言えばよいのか?」
「わけ分からんこと言ってかき回すのやめてくれない呉葉ちん!?」
「それはそれとしてだな、妾は夜貴が無事なのかどうかを知りたいのだ!」
「あ、おらが化けていた人間は床下です」
「夜貴―ッ!」
「あっ、馬鹿!?」
呉葉ちんのグーパン一発。
瞬く間に、事務所のビルは崩れ去った。




