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《第216話》『慟哭の嵐』
「ふふっ、どうやらこれで花見はなくなりそうですね」
くそっ、なんてこったい! 予報では初夏のような晴れだって言ってたじゃないかい! それが何で突然こんな大雨に!?
「ふぅむ、今日の天気は初夏のような晴れだと言っておったのだがな。と言うか、洗濯物がマズい。急いで戻らねば折角洗ったのに台無しになってしまう」
「お、おい――?」
「流石にこんな様子じゃ、書類仕事に戻らざるを得ないな――今できる奴だけでも片づけるか」
「ぬれたくない」
「おおお、おおぃ!?」
「酸性雨は頭髪によくありませんし――」
「おおおおおおいッッ!!?」
皆それぞれ、各々のことに戻って行ってしまう。味方に引き入れたと思ったとたん、宴会する前に解散ムードだ。
もはやこれまでなのか――アタシの飲酒は、お花見は……。
「――と、そうだ」
事務室から出て行こうとした呉葉ちんは、手を撃ち鳴らしてこちらへと戻って来た。
そしてそのまま、コーハイの背後に回る。
「夜貴」
「うん? なに?」
「これはいったい何かな?」
呉葉ちんが、コーハイの後ろで何かを引っ張った。
「ぎゃひんっ!?」




