《第213話》『一転攻勢、一発逆転』
「そりゃあだって、呉葉は僕の奥さんですし、女性ですし」
「アタシだって女だよっ!」
そりゃあ、日ごろ血みどろの戦いに身を投じたり、戻ってきたら戻って来たで酒飲んでるけどね! その認識はヒドイんじゃないかい!? ちなみに、彼氏募集中!
「――で、結局ディアは妾に何の用事で電話をかけてきたのだ?」
「そうだ、そうだよ、そっちの方が今は大事だった! 呉葉ちん、花見へ行こう!」
「ふむ、花見か」
呉葉ちんの目がやや大きく開いた。喰いついて来そうな予感はぐんぐんするね!
「そう、花見さ! けど、この頭の固い奴らは拒否してくるのさ!」
「拒否って――ただ仕事を終わらせてからにしようって言ってるだけなんだがな。その仕事はさっき遊に増やされたけどよ」
「ふぅむ、なるほどな」
考えることなんて何があるってんだ! 花見へ行こうと言ってくれるだけでいいんだって! ハリーハリー! ハリーアップ!
「要約すると、だ。ディアは本来なら仕事をするべきであると言うのに、花見へ行こうとのたまいつつその実酒を飲みたいと言っているのだな?」
「ぐぬっ」
「しかもこの集中具合を見る限り、相当大事な書類仕事なのだろう」
「ぐぬぬっ」
「にもかかわらず、それをほっぽりだし、お前のことだから飲んだら飲んだで泥酔状態で仕事を再開するつもりだったのだろう? できるはずがないと言うのに」
「ぐぬぬぬっ」
あ、これ味方じゃないや。明らかに花見にはいかずつまらない仕事をさせられる雰囲気――、
「だが、それでもなお妾はその花見を推奨したいッッ!!」




