《第211話》『舞飛び込む救いの神』
「おいコーハイィ!? 何先周りしてんだよォ!」
コーハイを怒鳴り付けると、コイツはものすごく面倒臭そうな顔をして振り向いて来やがった。
「ディア先輩の考えていることなんてまるわかりですよ」
「お前はそんなに花見をしたくないのか!」
「したくないんじゃないんです、仕事をさせたいんです!」
そんなモノ帰ってきてからやる! と言いたいところだが、それでもこいつは首を縦に振らないだろう。こんなに信用が無いとは、我ながら悲しくなってくるね!
「大体、こんなことしている間にやっちゃえば、割とすぐに済むんじゃないですか?」
「だから、仕事の前にだな――!」
「ちゃんと時間管理してしっかりやっていかないと、ダラダラして終わりませんよ?」
「ぐぬっ」
「だから、ぱぱっと片づけてしまいましょうよ? それに、しっかり終わらしてからの方が、楽しいと思いますよ?」
「ぐぅううううううううううッッ!! むぅううううううううううううううううッッ!!」
言い返せない、何故だ! アタシより年下、と言うか未成年のクセに! 若いんだからもっと遊ぶべきだろ!
そんな、にっちもさっちもいかなくなり、もはや書類を終わらせてから花見に行かざるを得ないのか、と言う状況まで追い詰めらた時だった。
「おいディア。さっきの電話は何用だったんだ?」
一度は諦めかけていた救いの神が、否、鬼神が事務所へと飛びこんで来た。




