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《第206話》『そうだ、花見に行こう!』
「遂に――遂に、この日が来た」
笑いが堪え切れず、くっくっくとアタシは肩を震わせた。事務所の他の奴らにアルコールの切れたアル中を見るような目で見られたが、今は充分充填されている。
見よ! 窓の外で暖かに照る太陽を!
見よ! 激しくも優しく吹きすさぶ風を!
見よ! 木々に咲き誇る桃色の花を!
この高揚感は、まるで取り上げられた酒を取り戻した時とよく似て、しかしその大きさは相乗効果で比類なく巨大になり。
酒とつまみ、そしてこの風光明美で雅極まりない圧巻な景色! この三種の神器がそろった時、アタシ、クラウディア・ネロフィはこう叫ぶのだ。
「さあ、花見に行こう!」




