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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第七章
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《第百九十六話》『ばふんっ』

「なんで貴様にそんな事を話さなければならんのじゃ――ッ」

「え? ――あ、もしかして、昔過ぎて忘れ……」

「んなわけないじゃろう! 今でもあの時のことは鮮明に思いだせるのじゃ!」


 そう言って、九尾の狐は当時の、平安時代のことを話し始めた。

 こう言うのを――えっと、ちょろい、っていうんだっけ……。


「最初の出会いは、余が頭上から馬糞を浴びせられたときじゃ」

「ちょちょちょ、ちょっと、いきなり待って!? 早速何が起こったの!?」

「何って――それが奴との最初の出会いじゃから仕方あるまい。互いに幼かったとはいえ、余はその時の怨みを忘れてはおらぬぞ……ッ」

「ど、どうして呉葉はそんな事を?」

「周囲の人間から、母上に隠すように言われていた尻尾――しかし、他の人間共には見えなかったはずのそれが、当時はまだ人間じゃったやつにも見えた、らしいのう」

「見えたらなんで馬糞をかけたんだろう――」

「全くじゃ。貴様は一応アレの伴侶じゃろう? 言ってやってはくれまいかのう」


 人間だった頃の呉葉――その時の話はあまり聞かないから、とても新鮮だった。思えばもう少し本人にも聞いてもよかったかもしれない。


「それにしても、奴もあのころとはずいぶん変わったものじゃ」

「そりゃあ、人間じゃなくなっちゃったんだから――」

「そうではない。いきなり馬糞をひっかけてくるような奴じゃったが、それでもかなり内気――もっと言えば、表情のないヤツだったんじゃ」

「呉葉が――?」


 それは、今の呉葉からは想像ができなかった。普段すぐ怒り、笑う彼女の目まぐるしい表情の変化は、僕の日常の一部だ。

 それだけに、やはり当時のことは興味が引かれた。


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