《第百九十四話》『迷いの山』
「――あれ、さっきまで四人で山を登ってたと思うんだけど」
気が付いたら、僕は山の林のど真ん中で突っ立っていた。
「なんじゃここは、余は先ほどまで四人で山を登っておったはずじゃぞ!?」
――九尾の狐と共に。
「おい人間、貴様何かしたのかえ? この白面金毛九尾の狐の娘に粗相など、許されるモノではないぞえ!」
「粗相も何も、基本的に人類とは敵対関係じゃないですかあなた」
「ほう、ではこの一瞬にしてワケのわからぬ場所へと飛ばしたのも貴様であると認めるのじゃな?」
「論理建て出来ているように見えて、ただの屁理屈じゃないか!?」
馬鹿、なんて言うつもりはないけど、やっぱり抜けている部分があるのは否定できないなァ――。そんな面を考えると、敵対していると言うことがそれこそバカみたいに思えてくる。
と言うか、突然、本当に突然なんだけど、一体なにこれ!
「ひとまず、呉葉達のところに戻らないと――僕は分からなかったけど、そっちは違和感とか感じなかった?」
「いつの間にか知らない場所に立っていることは違和感以外の何者でもないのじゃが」
「そ、そうじゃなくて――!」
「それ以外など余は知らんのじゃ!」
「駄目だこの大妖怪!」
――とはいったものの、僕もヒトのこと、いや、狐のことを言えず、何もわからなかった。だからこそ、力の強い彼女に頼ったのだが……。
「…………」
「――? どうしたの?」
「っ、き、気安く話しかけるではないわ――! ひとまず、ここで立っているだけでは何の解決にもならぬ筈じゃ! なれば、まずは歩いてみるべきじゃろう!」
「あっ、待って、待ってよ!」
妙に力を込めて足を踏みだし、肩を怒らせ歩く九尾の狐。僕は急いで、その後を追いかけ




