《第百九十三話》『悪だくみ、からの』
「まずはあの付喪神を何とかせねばならぬか――」
「そ、そんなに嫌がらせに固執しなくてもいいじゃないか――ここへは、のんびりするために来たんでしょ?」
「ぐぬぬ――だが、そこには『二人で』と言う条件が付いていることを忘れてはならぬぞ。妾は夜貴と二人きりで旅行を楽しみたいのじゃ!」
「その気持ちは分かるけど――」
バスから降り、目の前の九尾の狐と付喪神を見ながら相談しあう僕達。と言っても、僕はやめることを進言しているが。
「そこに階段があるじゃろう? そこを登った先に、一度食べたら病みつきになる――なんじゃったっけのう?」
「ばーがー屋に候」
「そう、それじゃ、ぱーかー屋じゃ!」
「イメチェンでもする気か! と言うか、第一なぜ山にバーガーショップなんだ!」
「いくぞ狂鬼姫! 余の情報網がいかに優れているか、そのようなワケワカラン機械など捨ててしまいたくなるほどに知らしめてくれよう」
――しかし、なんだか楽しそうだなぁ。怨みとかなんだとかよりも、なんか構ってほしいだけのヒトに見えるよ。狐だけど。
のっしのっしと勇んで進みゆく九尾の狐。そんな背中を見ていると、呉葉が肩を叩いて呼びかけてきた。
「――よし、思いついたぞ、奴らをぎゃふんと言わせる方法を!」
と、呉葉がニヤリと笑った、その時だった。




