《第十八話》『連休初日日程=デート』
「ごめんね――僕の稼ぎが、もっとよかったらいいんだけど……」
「い、いや、夜貴は悪くない! 悪くないのだぞ! むしろ、ついつい高額な車を――」
「ん? 車?」
「い、いや、何でもない! まあ、無理して一戸建てを購入してしまったのは、流石に気が早かったな。HAHAHAHAHAHA――」
呉葉の乾いた笑いが少し気になったが、きっと気を使っているせいだろう。もっと頑張って、ランクも上になって、呉葉のために生活も楽にしてあげなければ。
「でも、まあ、旅行は無理だとしても――確かに、どこにも呉葉を連れて行ってあげられてはいないよね」
「そ、そうだろうそうだろう、その通りだ! だから、その――この際贅沢は言わん。ちょっと長い散歩程度でよいから、二人で……」
呉葉は僕から目をそらし、両人差し指をつきあわせながらそう言ってくる。いつもはぐいぐいくるだけに、偶にこうやってしおらしくされると、たまらなく愛おしくなる。
「ん――分かった。じゃあこの休みの間に、遊園地でも行ってみようか」
「ホントーか!?」
「うん。近場のそんなに大きくないところになっちゃうけど――わっ!?」
「ぬふふっ、だから夜貴は大好きなのだっ!」
体格が鬼どころか人間としても小柄なために、こうやって飛び付かれると、まるで小動物みたいだな、と思う。要するに、やっぱり彼女は可愛い。
「そうと決まれば、お弁当の準備をせねばな! 善は急げ、早速メニューを考える!」
「ははは――とりあえず、夕食食べてから、ね」
そう言えば、デートというモノの定番として、つい人知識から遊園地と言ってしまったが、僕の方こそ、遊園地は初めてだった。
それなだけに、行くのが楽しみだなぁ。




