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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第七章
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《第百八十四話》『傾国の妖狐(笑)』

「藤原 鳴狐――!?」

「は、鼻が――っ、む、なんじゃなんじゃ!? 何故貴様らがここに居るのじゃ!?」


 振り返ってみれば、湿ったタイルの上で転んでいる大妖狐・九尾の狐の娘、藤原 鳴狐がそこにいた。トレードマークの金色の尻尾が、まるで警戒している猫のように膨らみ立ち上がっている。


「むぅ、それはこっちのセリフだドジ狐。いいところであったのに邪魔をしおって」

「んむ? いいところ? ――んはははははっ! なるほどそれ僥倖、貴様への嫌がらせとなったのであれば、こうして転んだかいがあったと言うモノじゃ」

「こ、転んでもいいんだ――……、――……」


 そ、それにしても――ううん、この状況は……。

 温泉、大浴場。そんなところに服を着て入るのは、掃除のために入って来た従業員だけだろう。しかし、ここに居る誰も、勿論九尾の狐もそのようなためにいるわけではない。

 つまり、だ。何が言いたいのかと言うと、だ。その妖狐の豊満な胸が、湿ったタイルの上で押しつぶされているのであり、だ。この光景は、男である僕としてはかなり目の毒――、


「視るな、ボケ夜貴」

「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああっっ!?」


 呉葉の冷たい声と共に、両目に衝撃が走った。いきなり目をつかないでほしい!


「くははっ、どうやら貴様の旦那とやらは、余のだいなまいとぼでえに釘付けのようじゃのう! それに引き換え、貴様の身体の、なんと貧相なこと!」

「むぅ――! うるさいぞ、黙っていろ」

「これも、持って生まれた一つの才と言うヤツじゃ! 所詮鬼ごときでは、大妖狐の血を引くこの余の足元にも及ば――」

「耳垢がつまっているとは知らなかった」

「ぼろんばぁッッ!!?」


 痛くて押さえて見えない視界の外で、なんだかすごい爆音が鳴った。

 ――とりあえず、今ので風呂場を壊していないか、それが僕には気にかかった。


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