《第百八十二話》『弾はどれくらい装填されているのかな?』
「ふぅ――」
ハイキングと言う名の豪雪地獄雪男付きから戻って来た僕らは、それぞれ男女にわかれて温泉へと入ることにした。
温かいお湯が、疲れ切った身体を癒してくれる。その疲れの原因自体は先ほどのアレなので全肯定こそできないが、その疲労がこの気持ちよさを生み出してくれていることを考えると、全くの否定ができないのが何とももどかしい。
「それにしても、ここから見える景色は部屋の景色と違って、とても見晴らしがいいね」
お墓畑と違って、この場所から開けた光景は、山肌や森林と言った定番ながらもやはり間違いのない素晴らしいモノだった。流石に、大浴場の露天風呂まで不気味な景色だっただろうしようかと――、
「そうだな、まさに絶景だ」
「えっ」
僕は、すぐ隣でした声の方へと振り向いた。
「うむ、いい湯だな」
「くくくくくく呉葉ァ!? なんでここに!?」
案の定、一糸まとわぬ白い肌。最愛の鬼神が、ものすごぉくにやけた顔で温泉を堪能していた。
「こういうところで男女混浴は定番だろう? 入り口が例え分けられていたとしても」
「知らないよ!」
しかし彼女のこの様子、狙っていたと言わんばかりのその気が満々なのは気のせいだろうか? いや、きっと気のせいではない。
「ほれほれ、もっと近うよれ近うよれ」
「そう言って近づいてるのは呉葉じゃないか!?」
「なんだ? 妾が近くにいるのは嫌なのか?」
「嫌じゃないけど嫌です!」
だって、からかう気満々なんだもん!
「別に妾は気にせぬぞ? たとえお前のコレが9mmパラベラム弾だとしても――おや、意外とマグナムとまではいかなくてもそこそこ口径の大きな……、」
「どこみてんだよエッチ!」




